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数多くの絵本がある中で、読み聞かせに適している作品と、不向きな作品があります。保護者と子どもの会話がメインの物語や、歌って読めたりリズミカルに読めるもの、豊かな想像のきっかけとなる作品、語り手に虚飾や誇張のない作品は読み聞かせに適している絵本と言えます。
以下では、選りすぐりの読み聞かせにおすすめ絵本、10作品を紹介します。
1.『ここがわたしのねるところ』
文/レベッカ・ボンド、作画/サリー・メイバー、訳/まつむらゆりこ
『ここがわたしのねるところ』は、世界中、様々な場所で、子供たちがぐっすりと心地よさそうに眠りに落ちる様子を描いた絵本です。それぞれの土地の気候や地形に合わせ工夫し、文化となった生活様式が、丁寧で豪華な刺繍で表現されています。
「そよかぜ ふいて、ゆらゆらと、ここが わたしの ねるところ」「わたしの ベッドは かやのなか ゆれる カーテン みあげてる」……。世界の人々が、居心地の良い場所でぐっすりと眠る「おやすみなさいの時間」を、言葉と美しい刺繍で紹介しています。
文章は読み聞かせに適しているというよりか、読み聞かせをメインに作られたような絵本で、内容も就寝前の一冊に非常に適しています。
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2.『あんまりすてきだったから』
(ほるぷ出版)作/くどうれいん、絵/みやざきひろかず
『あんまりすてきだったから』は、こんちゃんの手紙をきっかけに、素敵な出来事が繋がっていき、さまざまな人を幸せにする、心温まる絵本です。
こんちゃんは、テレビで見かけた歌手の歌声が、あんまりすてきだったから、とっておきの万年筆で「そのうた、とってもすてきです」と、心のこもった手紙を書いて出します。
それを見た郵便屋さんも、うれしい気持ちになって、自転車をこぎながら口笛を吹き、口笛を聞いたやまめは、なんだかうれしくなって、しぶきをあげて跳ねます。
言葉の使い方に小さな工夫があって楽しく読める絵本です。例えば、こんちゃんは手紙を「とっておきの万年筆」でしたためます。手紙を受け取った郵便屋は「そよぐ葉っぱと同じ色」の手紙に気分を良くします。
総称で魚とせずに「やまめ」と書いたり、「昼間の月」が登場したりと、ほかの絵本ではあまり見ないような“小物づかい”が印象的で、そのちょっとした違いが心に残ります。
文章は、こんちゃんのスキップだったり、郵便屋の口笛だったりの聞きなれない言葉のリズムがとても楽しく読め、読み聞かせに適していると思います。
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3.『ライオンのこころ』
(トゥーヴァージンズ)文/レイチェル・ブライト、絵/ジム・フィールド、訳/安藤サクラ
『ライオンのこころ』は、驚くほどに小っちゃくて、飛んでも跳ねてもおーいって呼んでも、誰にも気づいてもらえないネズミの物語です。
一方で、ライオンの暮らしはまるっきり違っていて、体も声も大きいライオンは、みんなの憧れでした。ある日ネズミは、自分も吠えることができればみんなに気づいてもらえるとひらめき、ライオンに会いに行きます。
体の大きさや、ちからの強さは関係なく、誰もがネズミの心とライオンの心を持っていると伝える絵本です。
絵はフォーカスの使い方がうまく、小さなネズミから見るライオンの大きな絵はとても迫力があります。また、小さなネズミが草木や動物たちに埋もれてしまう絵は、少しの切なさとユーモアがあります。
擬音が多めな文章で、韻を踏んでいている箇所が多くあります。翻訳絵本ですが、ぎこちなさがなく楽しくリズミカルに読めます。
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4.『おとどけもの』
(潮出版社)作/五味ヒロミ、絵/まえはら あきこ
『おとどけもの』は、“はじめてのおつかい”のような、子どもの行動のほほえましさと、小さな成長が描かれている作品です。
アライグマのグーは、お母さんが作ったぶどうのジュースを、おばあちゃんに届けるため、初めてひとりで出かけることにします。しかし途中でのどが渇き、全て飲んでしまいます。
牧歌的で温かみがある作品で、シンプルな物語ながら展開に違和感がないよう整え、物語に奥行きを与える様々な工夫がされています。
文はですます調で読みやすく、子どもが理解できる表現、文の長さが意識されているようで、読み聞かせに適しています。
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5.『きょうものはらで』
(好学社)絵/エズラ・ジャック・キーツ、訳/石津ちひろ
『きょうものはらで』は、広いのはらで暮らす、様々な生き物のおかあさんと子どもたちが、1ページごとに登場し、1匹ずつ増えていく絵本です。
夜までせっせと砂を掘るこがめ、仲良くばしゃばしゃと泳ぐ魚の子どもたち、ぶんぶんとうなる蜂の子どもたちが、生き生きと描かれていて、数え歌のように表現されています。
リズミカルな文章を読みながら、歌うように数字を声に出して読める絵本です。描かれている生き物を1、2、と指さしながら数えることもできるため、1から10までの数字を学んでいる読者に最適な作品です。
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6.『スパゲッティのうた』
(あかね書房)作/ぺこみそ(はらぺこめがね×DJみそしるとMCごはん)
『スパゲッティのうた』は、スパゲッティ屋を舞台に、スパゲッティのびんのふたを開け、スパゲッティを茹で、食べ終わるまでを描いた絵本です。
描かれてるスパゲッティは、とてもおいしそうで読むとおなかが減ってきます。
歌のように読める絵本で、文章の上に載っているものは、この絵本のために作られたオリジナルの絵記号で、それに合わせてカラオケで歌うように読める作品です。
『にがさない』の文の上には“ぎゅっと ちからをこめて”の絵記号が、『ねばねば ひっつく なっとう』の文の上には“ねばっこく”の絵記号が載っています。他にも“ズバッと”、“うねうねと”、“にげるように”など様々な工夫が凝らされていて楽しく読めます。
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7.『ごめんねゆきのバス』
(文溪堂)作/むらかみさおり
『ごめんねゆきのバス』は、お姉ちゃんのぬいぐるみにジュースをこぼしてしまったため、お姉ちゃんを怒らせてしまっためぐちゃんの物語です。
めぐちゃんが困っていると足元に小さなドアが現れます。通り抜けてみると、そこには、大きなくまが運転手をしているバスがありました。
めぐちゃんが乗ると、友達の本を返し忘れていたねこの子や、お母さんとの約束をやぶってしまったリスの子たちが乗っていました。バスは、ねこの子が「ごめんね」を言わなければならない相手のところで止まります。
なかなか謝ることができない、ごめんねの一言が言えない人を後押ししてくれる絵本で、温かみとファンタジーな魅力もある作品です。
素直に謝ることの難しさが丁寧に描かれていて、一歩踏み出すことの大切さを教えてくれる絵本です。
絵は、背景にぬいぐるみや人形など小物が多く描かれていて、動物好きな姉妹の普段の様子が伝わるようで、ほほえましく読めます。また、外には小さな動物たちがいたり、バスや家の階段にクマのマークがあったり、バスの座席がクマの足になっていたりと小さな発見が多く、楽しく読める絵本です。
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8.『ぬいぐるみきゅうじょたい』
(岩崎書店)文/ティエリー・ロブレヒト、絵/デイヴィッド・B・ドレイパー、訳/川野太郎
『ぬいぐるみきゅうじょたい』は、雨が降る冷たい道で、置いてきぼりになってしまった、ぬいぐるみのクマくんを、「ぬいぐるみきゅうじょたい」が助ける物語です。
クマくんは、右腕が破けて、中身の綿も減ってしまいましたが、町をパトロールしていたネズミたちがクマくんを見つけ、ぬいぐるみ救助隊の本部へ連絡します。すると小さな救急車がやってきて、クマくんをぬいぐるみ病院へ連れていきます。
クマくんは、ネズミのお医者さんに右腕を直してもらい、その後、ネズミたちのおとどけチームの車に乗り込み、持ち主の家を見つけ無事に再会します。
ネズミたちがチームとなり迷子のクマのぬいぐるみを救う物語で、とても温かみのある作品です。人々に気づかれないうちにネズミのチームが一丸となって、困っているぬいぐるみを救助する展開は、想像力が刺激され、とても魅力的です。
文章は、ですます調で読みやすく、平和的で温かみのある物語に合ったもので、読み聞かせにも適していると思います。
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9.『ついておいでフロー!』
(BL出版)作/ジャーヴィス、訳/青山南
『ついておいでフロー!』は、なんでも思い通りにするのが大好きな、カモの女の子、フローの物語です。ある日、フローとお父さんは、おばさんのお家へ出かけることになりますが、フローは、お父さんの後をついて行かずに思い通りに進んでいってしまいます。
親の知らぬ間に大切なことを学ぶ子どもと、教わったルールを守ることの大事さが描かれている絵本です。
文章は読みやすく、決まりきったセリフ的なぎこちなさがない文体で、フローと父親の会話も自然なものです。歌をうたうシーンが多く、実際に声に出して読むとより魅力的な絵本になると思います。
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10.『せかいでいちばんのばしょ』
(BL出版)作/ペトル・ホラチェック、訳/いわじょう よしひと
『せかいでいちばんのばしょ』は、美しい野原に住む野うさぎが、ある日、「ぼくらの原っぱは、世界で一番の場所かな?」と、友達に尋ねて回るシーンから始まる物語です。
しかし、みんな、住んでいる野原に満足しているようで、答えは出ません。ついに野うさぎは、原っぱを後にして、世界で一番の場所を探す旅に出ます。
世界で一番の場所を探す旅に出た野うさぎは、各地で友だちにぴったりの場所を見つけます。それは広々とした野原だったり、しぶきを上げる滝だったりします。野うさぎの冒険は読んでいてとてもワクワクしますが、どことなく切なさがあります。この辺りの描写がとてもうまく心に残る絵本です。
好奇心と友だちといることの幸せを描いた心温まる作品です。
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