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【データ】
・作品名: せかいでいちばんのばしょ
・作者: 作/ペトル・ホラチェック、訳/いわじょう よしひと
・出版社: BL出版
・発売年月: 2022年1月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 31ページ
・サイズ: 縦28cm × 横25.5cm
・絵と文の比率: おおよそ 8:2 1ページ当たりの文字数は80字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: なし
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
ペトル・ホラチェックはチェコ生まれの画家。他に『あおいろペンギン』『こぐまのともだちはどこ?』がある。
いわじょう よしひとは富山県出身の訳者。主な作品に、『チャーリー、こっちだよ』『いっぴきぐらしのジュリアン』など多数。
【内容紹介】
美しい野原に住む野うさぎが、ある日、「ぼくらの原っぱは、世界で一番の場所かな?」と、あなうさぎに尋ねた。ほかの友だちにも尋ねた。でもみんな、住んでいる野原に満足しているようで、答えは出ない。ついに野うさぎは、原っぱを後にして、世界で一番の場所を探す旅に出る。
【レビュー】
〈作品の主題〉
野うさぎは世界中を旅して、どれもこれも素晴らしい場所と思うが、なぜか寂しさを感じていた。そして、野うさぎはずっと探していた答えを見つける。それは、世界で一番の場所は友だちのいる場所だということ。
広い世界に何があるかと考える好奇心と、気の合う友だちと共にいることの幸せを描いた心温まる絵本。
〈ストーリー〉
世界で一番の場所を探す旅に出た野うさぎは、各地で友だちにぴったりの場所を見つける。それは広々とした野原だったり、しぶきを上げる滝だったりする。野うさぎ冒険は読んでいてワクワクするが、どことなく切なさがある。この辺りの描写がとてもうまい。
少しやりきれないような侘しさの残る、大自然とぽつんとたたずむ野うさぎが対比され、より一層哀愁がある。少し笑顔な野うさぎの表情もまた儚い気持ちになる。「せかいでいちばんのばしょ」は友達のいる場所だと気づく終わりはありがちな展開だが、読後感はいい。
〈絵と文〉
序盤の動物たちを描いた牧歌的な絵は、大変居心地がよさそうで魅力がある。
その後、野うさぎは世界で一番の場所を探す冒険に出るが、描かれている木々や花、砂漠に寝て眺める星空、沈みゆく夕日、勢いのある滝、山の頂上からの雄大な眺めなどの、美しく壮大な絵はとても迫力がある。上記したように野うさぎの孤独が強調されるような対比された絵は、味わい深い切なさがある。
文は、野うさぎの感情がうまくのったもので、動物同士の会話も自然で、翻訳絵本によくあるぎこちなさがなく読みやすい。
〈キャラクター〉
自分の住んでいる場所になんとなく疑問を持って、ほかの場所に住む自分を思い浮かべることは誰にでもあるかもしれないが、結局大事なのは共に過ごす友人たちと気づく野うさぎの感情の変化に心温まる。
帰ってきた野うさぎを受け入れる動物たちの表情は、とても優しそうでほっとする。
〈製本と出版〉
カタカナなしの総ひらがなの絵本。割と珍しく一人で読む絵本の一冊目になると思う。
文字の大きさはふつう。文章が背景の絵と重な箇所があるが、読みづらい部分はない。
【評点】
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