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【データ】
・作品名: ええところ
・作者: 作/くすのきしげのり、絵/ふるしょうようこ
・出版社: 学研教育出版 学研マーケティング
・発売年月: 2012年1月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 32ページ
・サイズ: 25cm
・絵と文の比率: おおよそ 8:2 1ページ当たりの文字数は100字ほど
・対象年齢: 6歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
くすのきしげのりは徳島県在住の絵本作家。他の作品に『えんまのはいしゃ』『みずいろのマフラー』などがある。
ふるしょうようこは、東京都生まれのイラストレーター。ニューヨークを拠点に活動している。
【内容紹介】
あいちゃんは、自分の「ええところ」が見つからない。友人のともちゃんに聞いてみると、手が温かいことがええところだと教えてくれた。クラスの子達の手を握って回り、とても喜ばれたあいちゃんだったが、いつしか手は冷たくなってしまう。落ち込んだあいちゃんに、ともちゃんは、一生懸命に手を温めて回るあいちゃんのやさしさがええところだと言った。あいちゃんはともちゃんこそが一番優しいと気づいたのだった。
【レビュー】
〈作品の主題〉
周りの子達と自分を比べて劣っていると考えてしまう子は多いだろう。大人だってそうだ。しかし誰にだって「ええところ」はあって、そしてその人の長所を発見できる人は、とても心優しい人であると教えてくれる絵本。
〈ストーリー〉
誰も気づかないようなその人の長所を見つけられる人は、とても優しい人で魅力的な人だ。そして皆がそうなったら、誰もがとても過ごしやすい空間が生まれるはずだ。そんなことを気づかせてくれる作品。
ともちゃんのようにほかの子のええところをさがしてあげようと思いつくラストの読後感がいい。ただ冒頭、主人公のあいちゃんは、私は背は低いし、力も弱く、走るのも遅く、声も小さいし、100点も取ったこともない……、と自分を卑下するが、別に背は低くてもいいし、力も弱くていいし、走るのも遅くていいし、声も小さくていいし、100点を取れなくてもいい。誰だって「ええところ」はあると教えてくれる絵本なのだが、その辺りを悪いところと読めるように描写されているのは少しだけ気になる。
〈絵と文〉
絵は親しみやすくかつ独創性があってとてもいい。作品の主題と合致した優れた絵だ。服装から察するに冬を舞台にしているが、外ではコートを着ていて、教室の中では服を脱ぎ、別の見た目に変わっているのは、非常に丁寧に感じた。
文章は全て関西弁で構成されている。とても読みやすく主人公の少女に自然な親しみを感じられる優れた文だと思った。心が揺さぶられる魅力がある。基本的には翻訳本にはできない魅力だ。
〈キャラクター〉
主人公のみならず登場人物みな表情は豊かで生き生きとしていて、読んでて楽しい。悩みがちな主人公のあいちゃんと、とても優しいともちゃんの会話は非常に心温まる。
〈製本と出版〉
文字の大きさはふつう。背景の絵と字が重なるページもあって時折読みづらいと感じる箇所がある。
【評点】
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