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【データ】
・作品名: ここがわたしのねるところ せかいの おやすみなさい
・作者: 文/レベッカ・ボンド、作画/サリー・メイバー、訳/まつむらゆりこ
・出版社: 福音館書店
・発売年月: 2022年2月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 31ページ
・サイズ: 縦23.5cm × 横23.5cm
・絵と文の比率: おおよそ 7:3 1ページ当たりの文字数は120字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: なし
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
レベッカ・ボンドはバーモント州生まれの絵本作家。他に『森のおくから』『ドーナツだいこうしん』がある。
サリー・メイバーはマサチューセッツ州生まれのフェルト作家。
まつむらゆりこは福岡県生まれの翻訳者。主な作品に、『はじまりはたき火』『エマおばあちゃん、山をいく』など多数。
【内容紹介】
「そよかぜ ふいて、ゆらゆらと、ここが わたしの ねるところ」「わたしの ベッドは かやのなか ゆれる カーテン みあげてる」世界の人々が、居心地の良い場所でぐっすりと眠る「おやすみなさいの時間」を、言葉と美しい刺繍で紹介する絵本。
【レビュー】
〈作品の主題〉
世界中、様々な場所で、子供たちがぐっすりと心地よさそうに眠りに落ちる様子を描いた絵本。それぞれの土地の気候や地形に合わせ工夫し、文化となった生活様式が、丁寧で豪華な刺繍で表現されている。
〈ストーリー〉
ストーリーらしいストーリーがあるタイプの絵本ではないが、世界中を回り、子供たちが眠りにつく様子をのぞき見するような展開で読後感は良い。
オランダの屋形船の家で眠る様子では「みずに ゆられて たぷたぷと ここが わたしの ねるところ」と、詩のようにリズミカルに読める文章で表現されており、読んでいて眠りに誘われるような心地になれる。就寝前の一冊に大変向いている。
〈絵と文〉
鮮やかで美しい刺繍がこの絵本の特長で大変に優れている。糸だけでなく、石や木、ボタン、針金などで世界中のベッドや、その背景など、細部まで丁寧に作られており、発見する楽しさもある。拡大鏡を使ってじっくり探索したくなるような魅力がある。手を抜いているように感じるページが一切なく、どこまでも完璧に仕上げたよう。温かみのある刺繍の数々に惚れ惚れとする。
文章は読み聞かせに適しているというよりか、読み聞かせをメインに作られたような絵本で、内容も就寝前の一冊に非常に適している。
詩的な文と説明的な文が同ページに書かれている。詩のほうは総ひらがなで、この部分のみだと未就学児でも一人で楽しめる。一方解説部分は、漢字が多く、子に保護者が解説する想定で作られているようだ。当サイトでの対象年齢は5歳~とした。
〈キャラクター〉
世界中の就寝時の子供たちの様子を回るという絵本だが、メキシコとブラジルをなど中南米の文化として、ハンモックを使い寝ているシーンが描かれている。ハンモックを使う文化があるからといって、メキシコとブラジルを一緒くたにするのは少し乱暴に感じる。
そして、どうしてもこの手の世界各地の文化をワンシーンごとに描く絵本に付きまとう、ステレオタイプの助長に繋がるイラストも多く、読書の際はあくまでも描かれているのは一つの例で、その地域の人全員が、その暮らしをしているわけではないとの認識が大切に思う。
〈製本と出版〉
やや小さめの正方形の絵本。詩の部分が色つきの大きな字で書かれており、解説箇所は明朝体で書かれている。豪華で細かい部分まで丁寧に作られた刺繍のため、もっと大きな絵本で読みたかったなと感じた。
【評点】
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