1から10の数字を学んでいる子に最適な絵本『きょうものはらで』

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【データ】
・作品名: きょうものはらで
・作者: 絵/エズラ・ジャック・キーツ、訳/石津ちひろ
・出版社: 好学社
・発売年月: 2021年9月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 22ページ
・サイズ: 縦20.5cm × 横23cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は30字ほど
・対象年齢: 4歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
エズラ・ジャック・キーツはニューヨーク生まれの絵本作家。他に『きみもこねこなの?』『ルイのうちゅうりょこう』など。
石津ちひろは愛媛県生まれの絵本作家、翻訳家。主な作品に、『おちばのねどこでおやすみなさい』『パ・パ・パ・パパジャマ』がある。

【内容紹介】
広いのはらで暮らす、様々な生き物のおかあさんと子どもたちが、1ページごとに登場し、1匹ずつ増えていく。夜までせっせと砂を掘るこがめ、仲良くばしゃばしゃと泳ぐ魚の子どもたち、ぶんぶんとうなる蜂の子どもたちが、生き生きと描かれ、数え歌のように表現されている。
【レビュー】
〈作品の主題〉
リズミカルな文章を読みながら、歌うように数字を声に出して読める絵本。描かれている生き物を1、2、と指さしながら数えることもできるため、1から10までの数字を学んでいる読者に最適な作品。

〈ストーリー〉
ストーリーらしいストーリーのある絵本ではないが、読んでいて発見は多く、楽しく読める。
小枝で作った巣の中でカァーカァーと鳴くカラスや、葦の茂みから川に潜るビーバー、高くそびえる木の上でキュキュキュと歌うツグミ。鳴き声や行動、住む場所など、それぞれの生き物たちの特徴が丁寧に文章と絵で描かれているため、自然と学びながら読める。

描かれているシーンは10か所だが、どのシーンも必ず、“ひろい のはらの”で始まる。曲の歌いだしのようであり、どのページも同じリズムで読めるきっかけとなる表現となる。また、どの生き物も同じ広い野原に生きていると考えられ、その点在する生き物たちの暮らしをのぞき見するような楽しさがある。

〈絵と文〉
全体的に秋の雰囲気で、様々な生き物が温かみのある絵で描かれている。読んでいて心が落ち着くような大変朗らかな作品で、就寝前にも適していると思う。

文章は歌うようにリズミカルに読めるもので、翻訳絵本によくある一種のぎこちなさがなく、読みやすく繰り返し読める魅力がある。

〈キャラクター〉
かめ、さかな、ツグミ、ビーバー、ミツバチ、カラス、コオロギ、トカゲ、カエル、ホタルと多様な生き物たちが描かれていて、 子どもを見守る一際大きなお母さんと、無邪気に動いたり、歌をうたう子どもたちの様子は微笑ましく愛にあふれている。

どのシーンも一匹のお母さんと、子どもたちが描かれていて、父親らしい姿はない。ちょっと強引かもしれないが、シングルマザーを応援する絵本と解釈でき、その楽しく暮らす様子は、全ての一人で子どもを育てている状況の母親と、その子どもの味方となる作品になる。

〈製本と出版〉
文字の大きさはふつう。背景の絵に合わせ、白、または黒の字で書かれている。背景の絵と重なり、読みづらい箇所が一部ある。

【評点】


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