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【データ】
・作品名: わたしは いいこ?
・作者: 作/えがしらみちこ
・出版社: 小学館
・発売年月: 2022年4月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 32ページ
・サイズ: 縦26.5cm × 横22cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は40字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
えがしらみちこは福岡県生まれの絵本作家。
主な作品に、『きつね山の赤い花』『おもわずおもわず』などで知られる。
【内容紹介】
いい子ってなんだろう? 母親から、「いいこは おかたづけ できるよね?」と言われた少女は、ふと考える。いい子って、じっとしてること? お買い物の時、お菓子を我慢したらママに「いい子ね」って言われたけど、いい子って、おねだりしないこと? いい子とは何か考える少女の物語。
【レビュー】
〈作品の主題〉
「いい子」という言葉に疑問を持った語り手の少女が、意味や使い方を探る物語で、子どもの疑問と想像力の可能性が描かれている作品。
「いい子」であるべきといった大人たちからの押し付けに近い言葉と、自身もそうあるべきだと思う気持ちで、結果的に、なんだかいい子ってつかれちゃう、と少女は感じる。
「わたしは、いいこ?」と母に質問すると、母は「いいこでも いいこじゃなくても そのままの あなたが だいすきよ」と答える。
「いい子」とされる、聞き分けのいい子とは大人にとってある種「都合のいい子ども」であって、子の伸び伸びとした自由な成長を制限する言葉になるかもしれない。
ありのまま子どもの自由な考えや行動を尊重する絵本。
〈ストーリー〉
語り手の少女が母親から、「いいこは おかたづけ できるよね?」と言われたことをきっかけに、少女が「いい子」とは何か過去の出来事を振り返りながら、悩み考えるところから物語は始まる。
聡明な少女が「いい子」の意味を疑問に思い、考えをめぐらす展開には、道徳的な押し付けを跳ね返すような力強さがある。
その後の、少女が母から愛ある助言をもらい、一つの階段を上る描写は、親子の愛情と成長が表現されていて、心にしみる美しさがある。
明確に描かれているわけではないが、子の思いが、親のあり方や言葉の伝え方を変化させる描写もあり、大人が子どもと接すると、とりあえず「いい子にしといて」と言いがちだが、丁寧な気持ちの伝え方を考えるきっかけにもなる、保護者や教員など、子に携わる大人にも推奨できる絵本だと思う。
〈絵と文〉
絵は、たくさんの小物が丁寧に細緻に描かれていて、一つ一つを発見する楽しさがある。
序盤に描かれている散らかった部屋には、語り手の少女が遊んだ様々なものが描かれている。
ビーチの写真、お菓子、サンタクロースの絵本、額に飾られた大きな木のイラスト(写真)などは、その後少女が空想する場面であり、辺りを見回しながら、想像と思い出のヒントにして、疑問の答えを探していることが伝わる。
その後も少女が想像した、お世話している人形たちや、おもちゃの野菜、あめ玉も部屋に散在されているものだ。また、部屋に置かれている大きなクマの人形は、終盤の就寝時に少女が抱いて寝ている。
少女が過去を振り返るシーンで、母と買い物中に売り場のお菓子を我慢する描写があるが、売られている様々なお菓子は、どれも非常に美味しそうで魅力的に描かれており、本当に我慢している様子が伝わるようで、説得力とほほえましさがある。
なお、棚に置いてある一つのお菓子は、序盤に描かれている散らかった部屋にも置かれているため、お気に入りのお菓子かもしれないし、後日か当日買ってもらったものかもしれない。読者が想像する楽しさもある。
文は少女の語りで進行し、読みやすく親しみやすい。「いい子」という言葉を疑問に思う聡明さと、小さな子どもらしい無邪気な可愛らしさが、わざとらしくない良い程合いで両立しているように感じた。
〈キャラクター〉
作中語り手の少女の想像上で、大きな木の周りや、砂場で遊ぶ子どもたちが描かれているが、単なる背景として雑多に書かれている訳ではなく、実際の教室で話を聞く子どもたちと姿形が一致している。それぞれの子どもたちにもそれぞれの人生や感情があるようで、読んでいて現実的な実感のある魅力がある。
〈製本と出版〉
文字の大きさは少し小さめ。背景の絵と重なる部分があるが、読みづらい箇所はない。
【評点】
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