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新小学一年生は入学に伴い状況が大きく変わり、学業への向き合い方や、新しい環境に対するストレス、友人関係の悩みなど、多くの不安(と期待)を抱えます。そんな一年生を支え、そっと後押ししてくれる絵本を紹介します。
1.『ええところ』
(学研)作/くすのきしげのり、絵/ふるしょうようこ
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『ええところ』は、周りの子達と自分を比べて劣っていると考えてしまう子の物語です。
あいちゃんは、自分の「ええところ」が見つからず、友人のともちゃんに聞いてみると、手が温かいことがええところだと教えてもらいます。クラスの子達の手を握って回り、とても喜ばれたあいちゃんでしたが、いつしか手は冷たくなってしまいます。
誰にだって「ええところ」はあって、そしてその人の長所を発見できる人は、とても心優しい人であると教えてくれる作品です。
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2.『きょうはだめでもあしたはきっと』
(春陽堂書店 山烋)作/ルチア・スクデーリ、訳/なかむらりり
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『きょうはだめでもあしたはきっと』は、砂漠に迷い込んでしまったダチョウの物語です。飛べない鳥であるダチョウが、動物たちに空を飛べると嘘をついてしまうけれど、本当は飛べないと打ち明けることで、周囲に受け入れられるまでを描いた作品です。
正直に自分の弱さを認めることの大切さが描かれています。
本来の自分とは違う自分を見せたいと思い、強がったり、見栄を張ることを経験した人は多いかもしれませんが、素直に公表することでほかの動物たちにダチョウが受け入れられる様子は、ありのままでいることの美しさと素晴らしさが表現されています。
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3.『わたしは いいこ?』
(小学館)作/えがしらみちこ
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『わたしは いいこ?』は、「いい子」という言葉に疑問を持った、語り手の少女が、「いい子」の意味や使い方を探る物語で、子どもの疑問と想像力の可能性が描かれている作品です。
「いい子」であるべきといった大人たちからの押し付けに近い言葉と、自身もそうあるべきだと思う気持ちで、結果的に、なんだかいい子ってつかれちゃう、と少女は感じます。
聡明な少女が「いい子」の意味を疑問に思い、考えをめぐらす展開は、道徳的な押し付けを跳ね返すような力強さがあります。
少女が母から愛ある助言をもらい、一つの階段を上る描写は、親子の愛情と成長が表現されていて、心にしみる美しさがあります。
ありのまま子どもの自由な考えや行動を尊重する絵本です。
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4.『バスにのるひ』
(絵本塾出版)作/はせがわさとみ、絵/nakaban
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『バスにのるひ』は、山のきつねの子が人間の姿に化けて、目的のバス停までの数だけ木の実を持ち、人間の町に住むきつねのおじさんの家に行く物語です。
きつねの子と一緒に人の世界にこっそりと忍び込むような、そわそわとする、ちょっと緊張感のある楽しさがあります。
ひとりで遠出するときの不安感と、美しいものを初めて見たときの感動、見知らぬひとに助けてもらったときの安心感を描いた絵本です。
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5.『ついておいでフロー!』
(BL出版)作/ジャーヴィス、訳/青山南
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『ついておいでフロー!』は、なんでも思い通りにするのが大好きな、カモの女の子、フローの物語です。ある日、フローとお父さんは、おばさんのお家へ出かけることになりますが、フローは、お父さんの後をついて行かずに思い通りに進んでいってしまいます。
親の知らぬ間に大切なことを学ぶ子どもと、教わったルールを守ることの大事さが描かれている絵本です。
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6.『やさしくてあたたかい』
(化学同人)作/リッカルド・フランカヴィーリャ、訳/やまさきみづは
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『やさしくてあたたかい』は、生まれた時は、小さかったけど、それからどんどん大きくなり、そしてびっくりするほど大きくなった、“おおきなこの子”の物語です。
誰だって活躍できる場所があり、いじめられたり孤独を感じることがあったとしても、個性を活かす場所があることを教えてくれる絵本です。読者に『やさしくてあたたかい』居場所がきっと見つかると伝えています。
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7.『にんぎょのルーシー』
(トゥーヴァージンズ)文、絵/SOOSH、訳/高橋久美子
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『にんぎょのルーシー』は、人魚と人、住む場所も見た目も違うふたりが、仲良く過ごす、友情の絵本です。地球環境の問題点もテーマに、それぞれの立場による違いと、重なり合う部分を描いています。
ふたりはそれぞれの違いを認識しながら、一緒に泳いだり、自転車に乗ったり、お茶会をしたりします。
特に素敵なシーンは、二人が釣り人の集まる海に潜り、こっそりと釣り糸に靴を引っかける箇所です。ふたりのいたずらに読者も参加しているような心地で読めます。
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8.『エリンとまっくろ岩のひみつ』
(評論社)作/ジョー・トッド=スタントン、訳/せなあいこ
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『エリンとまっくろ岩のひみつ』は「まっくろ岩」の伝説が残る港町が舞台の、怪物との友情を主題にした冒険物語です。「まっくろ岩」に興味を持ったエリンはママの漁船に忍び込みます。読んでいてとてもワクワクとする魅力があります。
ストーリーは海洋生物を保護することの大切さを伝えているものでもあります。エリンが「まっくろ岩」を見ると、腰にいかりが刺さっていたり、網が絡まっていたりします。人工物の悪影響が見て取れるこの描写は、自然破壊に対するメッセージです。
また、強く主張すること無く環境とジェンダーのメッセージを巧みに盛り込んでいて、先進性がある作品でもあります。
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9.『げっけいのはなし いのちのはなし』
(みらいパブリッシング)作/おおいしまな、絵/ふかいあずさ
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『げっけいのはなし いのちのはなし』は、お風呂で母親から血が出ていることに気づいた、語り手のたろうに、母親が月経について話すところから始まる性教育の絵本です。
授業で男女を分けて性教育をしているのは、今もなお続いていることですが、性の話は女の子だけ、男の子だけが知っておけばいいものではなく、誰にとっても必要な話で、互いを尊重することの大切さをタブー視せずに伝えています。
物語は月経の話から子宮、卵子と精子、セックス、出産、そしてそれぞれの人生を自由に決める権利がある事へと話は移り変わっていきます。どの話も自然な流れで説明的にならず、非常に丁寧に描かれており、可愛らしいイラストもあって飽きずに読めます。
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10.『海のアトリエ』
(偕成社)作/堀川理万子
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『海のアトリエ』は、少女“わたし”が、おばあちゃんから海辺のアトリエに暮らす絵描きさんと過ごした夏の日のことを聞く物語です。
文のほとんどは少女とおばあちゃんの自然な会話で構成されていてとても読みやすく、親しみやすい作品です。
将来に影響を与えた様々な思い出をおばあちゃんから少女が聞く展開で、特に絵描きさんは心優しい人ですが、子供に対して多く干渉せず、二人は自由にのびのびと暮らします。まるで友達のような様子が大変ほほえましく読める作品です。
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