針仕事や編み物の楽しさ、利用性が描かれた作品『ハリさんの針仕事』

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【データ】
・作品名: ハリさんの針仕事
・作者: 作/尾島惠美子
・出版社: 文芸社
・発売年月: 2021年3月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 31ページ
・サイズ: 縦18.5cm x 横26cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は20字ほど
・対象年齢: 小学校1年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
尾島惠美子は埼玉県出身の編物講師。

【内容紹介】
ハリネズミのハリさんが散歩をしていると、長い針が落ちていた。ハリさんはその針で大好きなバラのはなびらをつなげて、ネックレスを作ったり、お花で髪飾りを作ったり、どんぐりの木琴を作ったりする。

【レビュー】
〈作品の主題〉
ハリネズミのハリさんを通して、針仕事や編み物の楽しさや、豊富な利用性を伝えている。この絵本を読んで針仕事をやってみようと思う読者はいるだろうし、季節を捉えた温かみのある水彩画美しく、ハリネズミの行動やセリフも微笑ましく、心優しい読者を想定して描かれた作品だと感じた。

〈ストーリー〉
物語の展開はいい加減で、ページごとの繋がりが薄く、いまいち没入できない。ハリネズミを中心とした世界観は魅力があるし、落ちていた長針を自分たちの落としたハリかと勘違いし、お互いに背中を点検する様子はとても可愛らしいが、カチューシャを作っても次のページでは外しているし、様々なものを針を用いて製作するが、結局それらを利用することはない。目標を達成するときに感じる心地よい満足感のようなものが得られない。

〈絵と文〉
秋を舞台に水彩画で描かれた絵は可愛らしくて親しみやすい。想像力を掻き立てるもので、ハリネズミによる針仕事を想起しながら楽しんで読める。ただ、ハリネズミの表情はそれなりに豊かだがあまり個性は見られない。
文は読みやすく明瞭な内容で簡潔に描かれているが、あまりこれと言った特徴がなく、少し単純に感じる。

〈キャラクター〉
ハリネズミのハリさんが針仕事をする……。名前が短絡的でもう少しひねりがほしいと感じた。ハリさんの頭には、終始花びらが乗っており、読者はどのハリネズミがハリさんか分かりやすくなっているが、特に個性がないため、淡々とした印象を受ける。

〈製本と出版〉
基本的には小学2年生以下の読者に向けられて行われる、分かち書きがなされた絵本だが、「髪」、「琴」など小学校6年間で習わない漢字が用いられている。基準が曖昧で対象年齢が分かりづらい。当サイトでは小学校1年~とした。
なお、文字は大きくとても読みやすい。

【評点】


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