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・作品名: 『リジーと雲』
・作者: 作/テリーファン エリック・ファン、訳/増子 久美
・出版社: 化学同人
・発売年月: 2023年2月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 48ページ
・サイズ: 縦31cm × 横23cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は50字ほど
・対象年齢: 小学校1年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
作者のテリー・ファンとエリック・ファンは兄弟。多くの子ども向けの本を執筆。 他に『海とそらがであうばしょ』『空からふってきたおくりもの』など。
増子久美は翻訳家。他に『海とそらがであうばしょ』『オリーともりのがっこう』などがある。
【内容紹介】
リジーが、雲うりから買ったのは、よく見かけるような普通の雲。大きいわけでも、おしゃれなわけでもない。でもリジーには、最高の、すてきな雲だった。雲との暮らしにはルールがあり、リジーは雲にミロという名前をつけ、水をやったりしてお世話をする。すると、ミロはどんどん大きくなっていく。
【レビュー】
〈ストーリー〉
「土よう日でした。」から始まる物語で、最初に曜日が示されることで、物語がぐっと身近になっている。
リジーは公園で「雲うり」から、雲を買う。ちょっと聞くだけでワクワクするような導入で、引き込まれる。
どんどんと大きくなった雲のミロは、部屋の中で大雨を降らせてしまう。リジーはミロを繋いだ紐から手を離し、ミロは遠くへ飛んでいく。
リジーのもとを飛び立ち、離れていくミロの様子は、子どもが成長して保護者のもとを離れ、独り立ちしていく姿と重なる。
小さな子のリジーが経験する切ない別れと成長は、多くの読者も同じ気持ちで哀愁を感じながら読めると思う。
途中、「くものおせわのしかた」という説明書が描かれている場面があり、ちょっと他のページと比べると文章量が多いけど、架空の設定が楽しめる。
〈絵と文〉
世界は、20世紀初頭くらいの雰囲気で、少し不思議な物語と合っている。
カラー、白黒、セピアなページが混在していて、語り手のリジーの心情に合わせて描かれているようだ。
またパートカラーのように、白黒の絵を基調にして部分的に色の付いた絵が組み合わさっている。
文章はですます調で読みやすく、丁寧で優しい文章が物語の雰囲気にとても合っている。子どもが理解できる表現、文の長さで、よみ聞かせにも適していると思う。
〈キャラクター〉
語り手のリジーの表情は小さい変化ながら、楽しそうだったり、悲しそうだったり、考えを巡らせていたりと心情を読み取る絵本の面白さがある。
物語にリジーの保護者がほとんど登場しないところも、独り立ちのテーマと繋がっているように読める。
〈製本と出版〉
48ページで絵本としては、長め。全体的に紙質が良い。
一部の文章で、背景の絵と重なり、読みづらい箇所がある。
【評点】
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