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【データ】
・作品名: ローズ姫と黄金のめがね
・作者: 文/ロウリー・ムーア、絵/ナタリー・オーウェン、訳/中井はるの
・出版社: 早川書房
・発売年月: 2021年10月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 36ページ
・サイズ: 縦21.5cm × 横21.5cm
・絵と文の比率: おおよそ 7:3 1ページ当たりの文字数は400字ほど
・対象年齢: 小学校2年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: なし
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
ロウリー・ムーアはノッティンガム在住。1歳の頃から眼鏡をかけている。11歳の時にこの絵本を出版した。
ナタリー・オーウェンはイギリス・ノッティンガム在住のデザイナー。
中井はるのは東京都在住の児童文学翻訳家。他に、『ねむねむさんがやってくる』『だいすきすき』などで知られる。
【内容紹介】
ローズは、めがねをかけたプリンセス。めがねをかけるのが嫌なローズの前に、もうひとりのローズがあらわれ、「めがねなんてかけたら、本物のプリンセスになれないわ」と、いじわるを言う。ローズは悩みの答えを見つけるため、冒険に出ることにする。
【レビュー】
〈作品の主題〉
ローズは冒険に出た先で、手紙に書かれた様々な指令を見つけ、指示された通りに進んでいく。多くの困難を乗り越えてたどり着いた先で、自分の祖母が身に着けていた黄金のめがねを見つけることでローズは自信を取り戻す。
めがねをかけていても美しいと読者に伝える絵本。
〈ストーリー〉
ストーリーには気になる部分も多い。退屈な繰り返しも多く、手がかりを置いていたのはローズの両親や友達だったが、道中にはあまりに危険すぎる落とし穴が作られていたり、ローズがたった一人で寝ずに一晩を過ごすなんてちょっと現実的じゃない。
といっても眼鏡をかけることに抵抗を持つ子どもが多い中、当事者の視点で物語を編むことは大変貴重だし、焦点が当たることの少ない眼鏡を主題に、誰でも恥ずかしがらずに堂々と眼鏡を掛けていいというメッセージは、あらゆるステレオタイプや偏見、それに基づく差別を取り除く重要な表現となる。
また、プリンセスの物語にありがちな王子様と結ばれるオチでないのもいい。
〈絵と文〉
絵は登場人物の表情は乏しく、背景もあっさりしていてあまり魅力はない。
文章は読みやすいが、ちょっと冗長といえるほど長く似たようなことが繰り返し表現されている。
〈キャラクター〉
眼鏡を自然にかけた女性キャラクターは絵本には少ない。主人公ではさらに少ない。日本のアニメや漫画では割とあるが、それでも彼女たちはあくまでも“眼鏡キャラ”としての要素を含み登場していることが多い。
この絵本は、眼鏡という多くの人が日常的に使用するものに、偏見をなくするための一歩目となる絵本で、ローズという主人公がネガティブな自己に打ち勝つ様子は、読者のコンプレックスをなくす手助けになるだろう。
〈製本と出版〉
文字の大きさは小さめ。黒、または白の字で書かれている。背景の絵と重なり読みづらい箇所がある。
【評点】
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