Tweet
【データ】
・作品名: 空からふってきたおくりもの
・作者: 作/テリー・ファン、絵/エリック・ファン、訳/よしい かずみ
・出版社: 化学同人
・発売年月: 2022年11月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 48ページ
・サイズ: 縦26cm × 横26cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は50字ほど
・対象年齢: 6歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
作者のテリー・ファンとエリック・ファンは兄弟。多くの子ども向けの本を執筆。 他に『海とそらがであうばしょ』『リジーと雲』など。
よしいかずみは、東京都在住の翻訳家。主な作品に、『麦畑のみはりばん』『夜をあるく』などで知られる。
【内容紹介】
木曜日。虫たちの世界に、空から不思議なものが降ってきた。みんな、それが何なのか、気になるけれどよく分からない。ずるがしこいクモは、それをお披露目する展覧会を開き、大儲けしようと考える。展覧会のために、みんなは力を合わせ、<ふしぎランド>を作る。
【レビュー】
〈ストーリー〉
「もくようびのことです」から始まる絵本で、最初に曜日を明記することで、物語がぐっと身近になる。
<ふしぎランド>が人気になると、クモはちゃっかりチケットの値段を上げて、大儲けする。しかし、「5ほんあしの いきもの」がやってきて、不思議なものを持ち去られてしまう。ひとりぼっちのクモが、せっせと花と花を結ぶように網を張ると、空から不思議なものが次々と降ってくるようになる。
ストーリー展開は、強欲なクモが、心変わりして一所懸命に働くと、空から次々にものが降ってきて、報われるといった感じで、ちょっと都合が良すぎる気もするし、「道徳的」なところも気になる。
〈絵と文〉
イラストは細緻に描かれていて、非常に美しい。虫も植物も、空から落ちてくる人工物も美しく、この絵本最大の魅力だと思う。
ほとんどが白黒の絵で進行する絵本で、印象的なものが、色づけられて描かれている(パートカラー)。それは、空から降ってくる人工のものや、お金として使われる葉っぱだったりする。
終わりのページで、今まで白黒で描かれていた虫たちも彩られる。ありがちな表現ではあるけれど、目を見張る魅力がある。
文章は読みやすく、また虫たちの会話も親しみやすい。子どもが理解できる表現、文の長さが意識されてる感じで、明瞭な内容が簡潔に描かれている感じ。
よみ聞かせにも適していると思う。
〈キャラクター〉
「〇〇だわ」といった役割語が少し気になる。特にビー玉をタマゴと勘違いして温めるオオミズアオが、女性的な役割語だったりと、「性の役割分担」が強調されているようで、引っかかった。
〈製本と出版〉
文字の大きさは少し小さめ。背景のイラストと重なり、少し読みづらい箇所がある。
表紙に描かれたビー玉のイラストは、虹色に光るホログラム加工がされている。また、全体的に紙質が良く、肌触りがいい。
【評点】
【関連する絵本】
Tweet