Tweet
・作品名: パッピプッペポーのパンケーキ
・作者: 文/あいはらひろゆき、絵/宮野聡子
・出版社: KADOKAWA
・発売年月: 2022年3月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 32ページ
・サイズ: 縦cm × 横cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は30字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
あいはらひろゆきは仙台市出身の絵本作家。他に『笑顔が守った命~津波から150人の子どもを救った保育士たちの実話』『ルルロロのてあらいだいすき!』などがある。
宮野 聡子は、東京都生まれの絵本作家。主な作品に、『ボール、みいつけた!』『ちいさなかわいいおべんとうばこ』など多数。
【内容紹介】
いたずら好きなこぐまの3兄弟、パッピ、プッペ、ポー。おばあちゃんの誕生日をお祝いするために、ふわっふわのパンケーキを作る。おいしそうなパンケーキを見た3匹は、ちょっとお味見することにしたが、3匹がおいしく食べた結果、結局残ったのはほんの少しだけだった。
【レビュー】
〈作品の主題〉
3匹がおばあちゃんにあやまると、おばあちゃんは3匹をぎゅーっとだきしめて作ってくれただけでとてもうれしいと言った。
そこへおじいちゃんがパンケーキの材料をかかえてやってくる。みんなでパンケーキを作り、おばあちゃんの誕生日は大成功となった。
心優しい温かみのある作品で、愛情とおいしそうなパンケーキのイラストが魅力的な物語。
〈ストーリー〉
パッピ、プッペ、ポーの3匹は、おばあちゃんの誕生日を牛さんのミルクや、にわとりさんのたまご、はちさんのみつをたっぷり集めて、大きくて、おいしそうなパンケーキを作る。
ストーリー展開はよくある感じというか、おなじみの流れだが、小さな三兄弟が仲良く協力し合い、一つの目標を成し遂げる様子が、魅力的で楽しく読める。
結局3匹は、パンケーキを食べてしまい、おばあちゃんのために作ったパンケーキは、ひとかけらだけになってしまうが、その小さく残ったパンケーキはどうなったのか気になった。最後におばあちゃんがさり気なく食べてる絵でもあれば、よりよかったと思う。
〈絵と文〉
絵は想像力をかき立てられる魅力がある。知的好奇心も得られるような発見がある。洗濯物を滑車で吊るしたり、自給自足しているような工夫が描かれていて、自分もこの暮らしをすることを想像するような楽しさがある。
なお、最も魅力的に感じた絵は、クマたちの暮らしを俯瞰で描いている、表紙裏と裏表紙の裏の絵で、作中で使われていないのは贅沢というか、ちょっともったいなくも感じた。
地下にある物置やモグラの寝床、こぐまの3兄弟の部屋、小さく描かれた家族の写真(両親のような者も見える)ドーナツ型のクッションなど様々な発見のある絵が、こぐまたちの暮らしが想像できるような、作品に没入できる良さがある。シリーズ化もできそうと思った。
一方で作中の牧歌的な絵もどれも素晴らしく、絵本らしい温かみのあるおなじみの展開、別の言い方をすればありきたりでまあ陳腐とも言える物語ではあるが、それを退屈なものに感じさせない、押し上げる魅力がある。
文章は丁寧な言葉づかいでかつ親しみやすく、その辺りがいい塩梅でうまく両立している。
〈キャラクター〉
3匹の兄弟が世話をしている小鳥や猫が多くのシーンで描かれていて、楽しそうな暮らしぶりが伝わる。
この絵本のような牧歌的で優しい物語は、わりにステレオタイプが強調される表現で描かれる場合が多いが、長男がピンクをイメージカラーにしているのはとてもいいと思った。
〈製本と出版〉
本の大きさはふつう。文字の大きさもふつう。背景の絵と文字が重なる箇所があるが読みづらい部分はない。
【評点】
【関連する絵本】
Tweet