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・作品名: おとうとがおおきくなったら
・作者: 文/ソフィー・ラグーナ、絵/ジュディ・ワトソン、訳/当麻ゆか
・出版社: 徳間書店
・発売年月: 2022年4月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 33ページ
・サイズ: 縦29cm × 横22cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は50字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
ソフィー・ラグーナはシドニー生まれの作家。
ジュディ・ワトソンはメルボルン生まれのイラストレーター。
当麻ゆかは翻訳家。主な作品に、『きみもこねこなの?』『ムーミンのおはなしえほん』シリーズなどで知られる。
【内容紹介】
ぼくの弟のテオは、まだ赤ちゃん。毎日、ミルクを飲んで、眠っている。ママがいうには、テオがもっと大きくならないと、一緒に遊べない。だからテオが大きくなったら、自転車に乗って、ジャングルへ行って、それから、二人で海辺に行って、木の枝と貝殻でお城を立てるんだ。
兄になった男の子が弟との将来を空想する絵本。
【レビュー】
〈作品の主題〉
兄の“ぼく”は想像の世界で弟のテオと冒険する。様々なところへ行き、楽しく過ごす。想像力の無限の可能性と、弟を思う兄の優しさを描いた作品で、弟(妹)ができたばかりの子に適していると思う。
〈ストーリー〉
兄の“ぼく”は様々な場所に行き、弟と楽しく過ごす日々を想像する。想像の世界で自転車に乗ってジャングルへ行ったり、海辺で自分たちだけの秘密基地のようなお城を建てたり、寝床で二人本を読んだりする。
冒険のワクワク感があって楽しく読めるが、展開が一辺倒な印象で少し飽きる。想像の無限の可能性を描いた作品は多くあるが、この絵本にそれらの作品を凌駕する特別な魅力があるかというとちょっと微妙。
一方で、終盤の展開に二人がボートに乗っているとき嵐が来た際、大波にさらわれた“ぼく”を弟のテオが救うシーンがあるが、想像する自分が助けるのではなく、助けてもらうというこの描写は素敵に感じた。
〈絵と文〉
絵は様々な生き物が隠れていて、探す楽しさがある。壮大なイラストは力強く迫力がある。ただ、背景に人物、動物が溶け込んでいないような、絵のタッチの差に違和感を持った。
文は少しぎこちなく堅い印象を受けるが、読みやすく、また読み聞かせにも適していると思う。
〈キャラクター〉
兄弟二人が生き生きと冒険を楽しんでいる様子が伝わる。二人はそれぞれの地域にあった服装をしているのも読んでて楽しい。
またシーンの移り変わりで二人は成長していく。身長が高くなるだけでなく、たくましい顔つきになっていく過程が描かれていて、ほかの絵本にはなかなかない魅力がある。
〈製本と出版〉
「木」でのみ漢字が使われている。振り仮名があるとはいえ、漢字なしで統一したほうがよかったと感じた。他の小学1年生で習う漢字はひらがなで書かれているし、「木」のみを漢字にしたところで特に印象や読みやすさは変わらないと思う。
【評点】
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