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【データ】
・作品名: わたしお姫さまになれたよ
・作者: 作/丑野公輔、絵/榊原ますみ(榊は木へんに神)、監修/岡田新吾
・出版社: 三恵社
・発売年月: 2021年4月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 31ページ
・サイズ: 縦21cm × 横21cm
・絵と文の比率: おおよそ 6:4 1ページ当たりの文字数は200字ほど
・対象年齢: 小学校2年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: なし
・縦書き、横書き: 縦書き
【作者】
丑野公輔は福祉理美容士。この絵本は自身の経験を元に描いている。
榊原ますみ(榊は木へんに神)は、愛知県出身のイラストレーター。
監修の岡田新吾は絵本作家。他に『のび~るのび~る』『シャバーニだいすき』がある。
【内容紹介】
生まれた時から目が見えない女の子、ちぃちゃんは、はじめて美容室へ行く。ちぃちゃんは美容師のひろくんに、勇気をふりしぼり、お姫さまになりたいと言った。するとひろくんは、ちぃちゃんにさわってもらって髪の長さを確認しながら、チョキチョキと髪の毛を切っていく。髪を切り終えちぃちゃんはママに、わたしお姫さまになれたよ、と言って笑った。
【レビュー】
〈作品の主題〉
目が見えない子どもの想像力と夢の実現を、美容室での髪のセットを用いて描いた作品。
障害の苦労を利用して感動させようとする物語やテレビ番組はときおり見かけるが、この作品はそんなたぐいのものではなく、主人公の、目の見えないちぃちゃんは、いつも笑顔で想像力を働かせ日常を楽しんでいる。
障害を軽んじている表現もなく健常者との違いも丁寧に描いている。
〈ストーリー〉
生まれつき目の見えないちぃちゃんは、絵本に登場するお姫さまに憧れている。想像力が豊かな少女が美容室に行き髪型を変えることで、憧れのお姫さまになる物語は、読んでいて楽しい。特にちぃちゃんと美容師が髪型について具体的に会話しながら決めていくシーンはとても魅力的。
最終的にちぃちゃんが美容師のことを王子様と確定したのは少し安易だなと思ったが読後感はいい。
〈絵と文〉
主人公のちぃちゃんは表情が豊かで可愛らしくユーモラスにも描かれている。
文と絵が調和し進みが一致していて読みやすい。手書きではなくPCで描かれた絵だろうが、親しみやすく生き生きと描かれている。ただキャラクターの絵がほとんどで背景の絵が少なくちょっと安っぽくも感じる。美容院の中の絵ぐらいはあればいいのにと思った。
〈キャラクター〉
トゲのある花を触り主人公のちぃちゃんは「ちからづよくさくお花じゃないかな」と言う。ちぃちゃんは3歳だが他の文を見ても3歳にしては語彙力が豊かだなと感じた。ただ成長の早い子だとこのくらいは話すだろうから特に気になる表現というわけではない。
全体を通して聡明で心優しい子として描かれている。
〈製本と出版〉
割と珍しい縦書きの絵本。文字の大きさはふつう。フォントが少し読みづらい。背景の絵と重なる箇所はなく読みやすい。
ただ漢字の基準が非常に曖昧。表題にも使われている「姫」や「髪」といった小学校6年間で習わない字が漢字で書かれているが、一方で「おと(音)」「いう(言う)」がひらがなで描かれている。特に子どもが話す箇所をひらがなにしている訳ではなく、対象年齢が分かりづらい。当サイトでは小学校2年~としたが、主人公の年齢は3歳だし総ひらがなで良かったと思う。
【評点】
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