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・作品名: ダンボール
・作者: 文/ユン・ヨリム、絵/イ・ミョンハ、訳/わたなべなおこ
・出版社: TOY Publishing
・発売年月: 2021年12月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 50ページ
・サイズ: 縦29cm × 横23cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は30字ほど
・対象年齢: 小学校1年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: なし
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
ユン・ヨリムは、1970年生まれの絵本作家。
イ・ミョンハは、1974年ソウル生まれの絵本作家。
【内容紹介】
ピンポ~ン。玄関のチャイムがなり、宅配便が、配達された。ドアの前には、ダンボールが置いてある。受け取った人は、荷物を取り出すと、ダンボールを窓からポイっと捨てた。ほかの家の窓からも、ダンボールがどんどん捨てられていく。うずたかくつまれたダンボールたちは、突然「からっぽだー!」と叫び、辺りのものを食べつくす。
【レビュー】
〈作品の主題〉
ダンボールたちはマンションや車、木など、さまざまなものを食べていく。この辺りでなんとなく「ポイ捨てはいけない」といったメッセージの絵本と予測してしまうが、そんな展開ではなく、予想のつかない物語のまま結末へ進む。
環境問題を伝える作品とは一味違う、ぶっ飛んだ魅力がある絵本。
〈ストーリー〉
コミック風の吹き出しとコマ割りで、擬音が多く楽しく読める絵本。ユーモアに満ちていて、シュールな展開が魅力的。
序盤のしてはいけないとされるポイ捨てをみんなで堂々とする(しかもマンションの窓から)様子がなんだか笑えてくる。
ダンボールたちは辺りのものを食べつくした後、自分の中に何が入っていたかを思い出す。それらは秘密道具みたいな夢のアイテムで、例えば「きたまま せんたくき」や「とびだす えいぞう えほん」など40種類ほどが紹介される。どれも面白く興味がひかれるようなものばかりで、わくわくしながら読める。
〈絵と文〉
絵は、山積みになるダンボールが迫力があって素敵。またダンボールが以前のような木になるために積みあがるシーンは、とても美しくうっとりするような魅力がある。
文は読みやすく、声に出して読みたくなるような自然なセリフが多く、親しみが持てる。
〈キャラクター〉
ダンボールの不思議な行動は予想がつかないし、ハラハラドキドキする魅力がある。ただ少しの悲哀のような、切ない気持ちになるシーンもある。
“ゴミ”とされるものの以前の姿や、捨てられた後のことを親和的に考えるきっかけとなるキャラクターだが、それほど説教臭さがないところがいい。
〈製本と出版〉
多くのダンボールには「번개쇼핑」と書かれている。日本語訳すると「雷ショッピング」という意味で架空の通販会社だろう。
手書きのフォントで楽し気な雰囲気で書かれている。読みづらい部分はない。
ほとんどがひらがな、カタカナで構成された絵本だが、「木」のみ漢字で書かれていてルビがない。イラストを邪魔するかもしれないが、振り仮名があったほうがよかったと思う。
【評点】
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