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【データ】
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・作品名: キオスク
・作者: 作/アネテ・メレツェ、訳/くろさわあゆみ
・出版社: 潮出版社
・発売年月: 2021年5月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 35ページ
・サイズ: 縦28.5cm x 横22cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は50字ほど
・対象年齢: 6歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
アネテ・メレツェはラトビア生まれのイラストレーター、アニメーション作家。
くろさわあゆみは、ラトビア在住経験のある作家、訳者。他に、『ソビエト・ミルク ラトヴィア母娘の記憶』がある。
【内容紹介】
キオスクで働くオルガは、とても大きな体のため、キオスクから出ることができない。毎日お客さんと触れ合いながら、夕日が沈む海を見たいと願っている。ある日オルガは、キオスクの中に入ったまま、歩くことができると気づく。
【レビュー】
〈作品の主題〉
キオスクに入って出られなくなってしまったオルガが、どうにか外に出ようと試行錯誤する物語と思いきや、そうではなく、予想ができない出来事が連鎖し、思いがけず夢を叶える物語。
物語展開の妙、起伏に富んだ展開が大変魅力的で、読後感も心地いい絵本。どんな状況でも笑顔で前向きなオルガになんだか救われる。
〈ストーリー〉
この絵本ではオルガがキオスクに初めて入り、出られなくなった時のエピソードが描かれていないため、「オルガはキオスクから出られない」という物語の根幹となる部分の描写が足りていない。やはりこの箇所を冒頭に描き、すんなりと物語に没入できるようにしたほうがよかったと思う。
トイレや風呂はどうしているかなどツッコミどころを探そうと思えばいくらでもおかしな箇所はあるが、その辺を気にさせず物語が流れていく。やや強引な展開だが、世界中で知られているキオスクを舞台にしていることで、現実と非現実が交錯するような、なんだか不思議な魅力がある。
〈絵と文〉
絵は手書き風で、敢えて雑に描いているところと丁寧に細かく描いているところがいい塩梅で読んでいて楽しい。背景の絵は日本語訳されている部分と訳されてない部分が混在している。
海外で出版された絵本は異文化の雰囲気を味わえるのが一つの魅力なため、子供向けの絵本であっても変に修正を加えずにありのままの方が良かったと思う。
文章はとても読みやすく、主人公のオルガの明るくユーモアのある性格が伝わる訳に感じた。
〈キャラクター〉
オルガの体は大きく、それが理由にキオスクから出られない設定だが、特別太っていることを茶化す表現がなく、生き生きと描かれているのがいい。不幸な出来事があっても気にせずに、目まぐるしい展開を笑顔で乗り切るオルガはとても素敵だ。ただ、セリフが一切無いのが少し残念。
〈製本と出版〉
手書きのフォントで読みづらい。フォントは絵本の完成度を高め、作品の世界観をより魅力的にする力のあるものだが、この絵本は漢字が使われていない、分かち書きが行われている絵本なため、読みやすさに特化したほうがいいと思う。
【評点】
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