冬の寒い日を舞台に心温まるクリスマスの絵本『フランソンのさむい冬の日』

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【データ】
・作品名: フランソンのさむい冬の日
・作者: 作/セシリア・ヘイッキラ、訳/菱木晃子
・出版社: 化学同人
・発売年月: 2021年10月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 28ページ
・サイズ: 縦22cm × 横22cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は0字ほど
・対象年齢: 6歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: なし
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
セシリア・ヘイッキラはスウェーデン出身のイラストレーター。挿絵に『ムーミン谷のおはなし』などで知られる。
菱木晃子は、東京都生まれの翻訳家。他に『くまのピエール』『ロサリンドの庭』など多数。

【内容紹介】
フランソンは、町で暮らす猫。家はダンボールで、冬は床が凍り、冷たい風がふきこむ。でもセーターを着ているから大丈夫。雪が積もった日、フランソンが歩いていると、お腹のあたりがすーすーしてきた。気づいたらセーターがほどけていた。
【レビュー】
〈作品の主題〉
ほどけた毛糸をたどっていくと、本屋の中に続いていた。そこに待っていたのはアナグマで、彼は毛糸で編み物をしていた。
その日はフランソンにとって初めて友達と出会った日となった。
冬の寒い日を舞台にした心温まるクリスマスの絵本。

〈ストーリー〉
ストーリーは優しさに満ちていて、ほんわかとした気持ちになる。アナグマが編んだセーターをクリスマスプレゼントとして受け取る結びも心地良い。

一つ気になったのは時間の変化で、ときおり時計台が描写されるが、フランソンが出かけた時間は朝の8時。散歩をして毛糸を追いかけるシーンでは既に4時40分頃になっている。あたりも夕暮れで、アナグマとフランソンがであったころには夜になっている。あまりに時間の経過が早すぎる気がして違和感があった。
〈絵と文〉
絵は可愛らしく優しい物語にとても合っている。背景のヨーロッパ風の街並みも美しい。

文は大変読みやすく読み聞かせにも適していると思う。ただフランソンのセリフらしいセリフがないのは少し残念。

〈キャラクター〉
ほかの動物たちは家に暮らしている世界観なため、ダンボール暮らしの猫のフランソンはホームレス生活をしているといえる。最終的にフランソンは友人となったアナグマと共に暮らすこととなったため、ホームレス生活を抜け出すこととなる。ホームレス支援につながる絵本かというと微妙だが、考えるきっかけになるかもしれない。
〈製本と出版〉
小さめサイズ、正方形の絵本。
ほんわかとしたシンプルな内容だが漢字が使われている絵本。またタイトルの「フランソンのさむい冬の日」には振り仮名がない。内容を考えると漢字なしの分かち書きが適していたのではないかと思う。

【評点】


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