日常を疑問に思う楽しさとユーモラスな動物絵本『おひさまがおちないように』

書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
【データ】
・作品名: おひさまがおちないように
・作者: 絵/チュ・チョンリャン、作/クオ・ツェンユアン、訳/青山大樹、廣部尚子
・出版社: ライチブックス
・発売年月: 2021年12月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 36ページ
・サイズ: 縦29.5cm × 横20.5cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は30字ほど
・対象年齢: 4歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
チュ・チョンリャンは、上海生まれの絵本作家。他に『チュンチエ 中国のおしょうがつ』など。
クオ・ツェンユアンは、フリーライター、脚本家。本作が初めての絵本。
青山大樹は、東京都生まれのライター、中国語通訳。
廣部尚子は、滋賀県生まれのコピーライター。主な作品に、『せかいのはてまでひろがるスカート』などで知られる。

【内容紹介】
お昼を過ぎるころ、お日さまが落ち始める。「お日さまが落っこちないようにしなきゃ」と、鳥は、お日さまを縛り付けようとした。リスは、お日さまを支えようとした。牛は、お日さまを押し上げようとした。パンダの親子は、お日さまを持ち上げようとした……。だけど、やっぱり、お日さまは落ちていく。
動物たちは懸命にお日さまが落ちないように工夫するが、うまくいかない。

【レビュー】
〈作品の主題〉
お日さまが地面の下に潜ってしまったために、動物たちは地面を掘り始めるが疲れて寝てしまう。夜が明けてお日さまが昇り始めると、動物たちはみんなでお日さまを掘り出したと大声をあげて喜ぶ。
当たり前のことや日常を疑問に思う楽しさと、動物たちの行動の微笑ましさが描かれている絵本。

〈ストーリー〉
動物たちはお日さまが落ちないように、様々な工夫をする。鳥は空を飛んで、ひもを縛り付けたり、猿は長い木の棒で持ちあげようとする。それぞれの動物たちが知恵を絞る様子は読んでて楽しいし、繰り返し表現が分かりやすくも自分も考えたくなるような気持ちで読める。

強い風が吹き、激しい雨が降る。動物たちはほら穴で雨宿りするが、日が隠れて、寒さに震えながら外を眺める。動物たちがお日さまをとても愛し、そして頼りにしていることが伝わる。

〈絵と文〉
動物たちがお日さまが落ちないように工夫する際に描かれている、遠近をなくしたイラストは想像力をかき立てられるし、独特なユーモアがある。

言葉遣いは丁寧で、動物たちのセリフは親しみやすい。読み聞かせにも適していると思う。

〈キャラクター〉
パンダ、リスなどの動物たちは衣服や毛並みに派手な模様が彩られている。
個性的な動物たちの姿や行動は読んでて飽きないし「分かりやすさ」を求めすぎない、紋切り型にならない絵本としての魅力がある。

〈製本と出版〉
文字の大きさは大きめ。動物たちの印象的なセリフが、白や赤などほかの文と異なる色で書かれている。
文が背景の絵と重なる箇所があるが、読みづらい部分はない。

【評点】


【関連する絵本】