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【データ】
・作品名: そばにいるよ
・作者: 文/スムリティ・ホールズ、絵/スティーブ・スモール、訳/青山南
・出版社: 化学同人
・発売年月: 2021年2月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 39ページ
・サイズ: 29cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は40字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
スムリティ・ホールズはロンドン在住の絵本作家。子供向けの本の出版やテレビ番組制作にも携わる。
スティーブ・スモールはロンドン在住のデザイナー。他に『水がすきじゃなかったアヒル』がある。
【内容紹介】
体の大きなクマと小さなリスの物語。
リスがどこへいこうと、ついていくクマ。友達がいるのって最高だけど、ときどき友達って、ちょっと重たくなるときも……。リスはクマと離れるが、やっぱり、離れると少し寂しい。心あたたまる友情物語。
【レビュー】
〈作品の主題〉
大きなクマと小さなリスの友情物語。恋愛とも解釈できる。心優しい読者を想定して描かれているなと感じる。
友達及びパートナーとなる人がいると楽しいけど困ることもある。一人でいる時は自由だけどさみしい。そんな誰もが知っている心の揺れを暖かみと優しさを感じる絵とともに描いている。
〈ストーリー〉
まるで道徳の教科書に載っている話のようなストーリー展開だ。体の大きな友達のクマを煩わしく思うリスが、別れを告げる。その後リスは、寂しく思いクマの元へ戻る。仲直りし、共に暮らすことを決める。独創性がなく月並みに感じる。
いなくなって初めて分かる、大切な存在……。今まで何度読んだだろうか、ありがちな展開だ。過去に何度も繰り返されたストーリーで実際普遍的な価値はあるのかもしれないが、この絵本にそれらを超える特別な魅力はない。
〈絵と文〉
語り手が分かりづらい。フォントと一人称の違いではっきりと分かるものの、前半は全てクマのセリフのため、クマとリスどちらのセリフか分かるまで少し時間がかかる。
漫画のような吹き出しにすると違和感が出るだろうが、発話者の色分けや、「きみ」ではなく、「リスくん」などと呼ぶなど、もう少し工夫が欲しかった。声色で分けられる読み聞かせには適していると思う。
絵は、愛らしくかつ切なさもある魅力を持った素敵な絵だと感じた。
〈キャラクター〉
クマは「クマ」と呼ばれているが、リスは名前が登場しない。そもそもリスであるか不明。いたちかもしれない。この辺りが登場人物に際立った印象を持たない理由か。
視点が一定ではなく読者が主人公と一体化できない。語り手が分かりづらい一つの要因。
〈製本と出版〉
文字は大きく読みやすい。黒背景に青文字のページもあるが、読みづらいと感じる箇所はない。気になったのは漢字の使い方だ。
ほとんどがひらがなで構成されている絵本だが、なぜか「腕」「崖」など小学校で習わない難しい字が使われている。ルビが振られているとはいえ、ひらがな、カタカナのみで構成されていた方が良かったと思う。
【評点】