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【データ】
・作品名: 鳥をつくる
・作者: 文/メグ・マッキンレー、絵/マット・オットリー、訳/井上舞
・出版社: 化学同人
・発売年月: 2022年11月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 31ページ
・サイズ: 縦28cm × 25.5横cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は20字ほど
・対象年齢: 小学校3年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
メグ・マッキンレーは、オーストラリア在住の児童文学作家、小説家。他に『DUCK!』『No Bears』など。
マット・オットリーは、オーストラリア在住のイラストレーター、芸術家。
井上舞は、英米文学翻訳家。主な作品に、『海のものがたり 海藻押し葉で紡ぐいのち』『三日間の隔絶』など多数。
【内容紹介】
鳥をつくるのに、なにが必要だろう。空っぽでとても軽い、数え切れないほどの骨。体を温め、空をとぶための羽。最後の仕上げのための貝殻や石。それでも鳥が、空たかく舞いあがるほんとうの鳥になるために、たりないものがある。
【レビュー】
〈ストーリー〉
鳥を生み出し、そして放つまでの物語は、創作した芸術作品を世に公開する作家や芸術家の心情のように解釈できる。
骨や羽などを集め組み立てる姿は、創作のヒントを集めて、一つの物語やアートを作っているようだ。
また、語り手の子は、鳥に命を吹き込む。孤独な“作者”が、工夫して作品を生み出す様子に似ている。
生命を持った鳥が「いちども ふりかえらずに」遠くへ飛んでいく様子は、作品が作者の手を離れて、それぞれの読者に行き渡るまでを描いているように読める。
難解な絵本だけど突き放すようなものではなく、解釈も上記した以外には、例えば「友達を創作する子」の話とか、「親と子の別れ」とか、「想像力が孤独を救う物語」とか様々にできるし、多くの読者に寄り添うように豊かな可能性を提供する作品に感じた。
〈絵と文〉
絵は、特に孤独を表してるような表現がうまく、最序盤の窓から外をながめる子の姿を描いたページは、一人暮らしにはあまりにでかすぎる部屋がその孤独を際立たせていて、一層儚く感じる。
詩的な文章は、心地よく響く感じで、美しいメロディのように読める。繰り返し読んでも、心が落ち着く大変魅力的な文に思った。
〈キャラクター〉
鳥のように空を飛ぶことを望む子の物語のように読める作品で、“命を作る”子の行動には、禁忌に触れるような怖さを感じながらも、読み進めてしまう魅力がある。
空に向かうように高く作られた小屋は語り手の望みのようで、また、絶海の孤島の小屋に備え付けられたように紐でつながったボートは、孤独と閉ざされた可能性が描かれているようで、空に向かう子の心情が表現されているように感じる。
〈製本と出版〉
本文は総ルビだが、タイトルにはふりがながない。使われている漢字や内容から見て、それなりに対象年齢は高め。当サイトでは、小学校3年生~とした。
字が背景の絵と重なる箇所があるが、読みづらい部分はない。
【評点】
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