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【データ】
・作品名： タコとだいこん
・作者： 作/伊佐久美
・出版社： 講談社
・発売年月： 2022年8月
・出版形態： 紙の本と電子書籍
・ページ数（作品部分）： 32ページ
・サイズ： 縦26.5cm × 横22cm
・絵と文の比率： おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数10字ほど
・対象年齢： 4歳～
・カタカナの有無： あり
・漢字の有無： なし
・ルビの有無： ー
・分かち書きの有無： あり
・縦書き、横書き： 縦書き
【作者】
伊佐久美は、東京都在住。本作が初めての絵本。
【内容紹介】
ある日、「だいこんたべたい」と、海の中で思ったタコは、誰にも見つからないように夜まで待って、そおっと陸へ上がる。さっそくネコに見つかってしまったけど、墨をはいて、なんとか勝つ。ずるずると道を歩いて、大根畑までやってきたタコは、8本の足をうまく使って大根を引き抜く。
【レビュー】
〈作品の主題〉
タコは大根を持ちながら、来た道を引き返す。タコつぼの家に戻って「シャキ シャキ シャリ シャリ」と食べて大満足。
未就学児でも楽しく読める絵本で、「タコ」と「だいこん」の意外な組み合わせがほほえましく読める楽しい作品。
〈ストーリー〉
冒頭から予想のつかない展開でワクワクしながら読み進められる絵本。
シンプルな未就学児向けの作品で、そういった絵本は、割と月並みで陳腐なものになりがちだけど、「タコ」と「だいこん」の組み合わせは、とても新鮮で楽しく読める。
タコが誰にもばれないように忍び込み、大根を盗む姿が描かれているが、読者に悪影響を与えるような感じではなく、タコのほのぼのとした描き方もあって、ちょっとした背徳行為を楽しむような、痛快さを感じるシーンで面白い。
読者の好奇心を引き出す展開と、心地の良い読後感が魅力的な一冊で、タコがひとりで計画を立てて実行し成功する様子は、困難に打ち勝つ姿と目標の達成がユーモラスに明るく描かれているようで、読者にも自然といい影響を与えると思う。
〈絵と文〉
絵も文章も未就学児向けのような、シンプルで読みやすい絵本だが、作品に奥行きを与えるような小さな工夫が多く描かれている。
例えば、夜を舞台に描かれた絵本だが、満月が少しずつ移動していて、時間の経過が表されている。
ほかにもタコが忍び込む港は、倉庫のような施設があり、不穏な感じでちょっとぞくぞくとするような楽しさもある。
文章はオノマトペが多く、声に出して読めるため、読み聞かせにも適していると思う。
〈キャラクター〉
タコの動きには躍動感があって、また、8本の足を巧みに使って大根を引き抜く姿や、大根をタコつぼの家まで運んでいる様子は独特なユーモアがある。
また、タコが猫に墨をかけるシーンなど笑顔になれたり、驚くページもあるのも読書の緩急になって読める。
墨をかけられた猫が帰り道では、物陰で寝ている様子が描かれていたりと、小さな発見が楽しめる。
〈製本と出版〉
割と珍しい縦書きの絵本。文字は大きく読みやすい。背景の絵と文字が重なって読みづらい箇所が一部にある。
【評点】
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