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【データ】
・作品名: しずかな夏休み
・作者: 作/キム・ジヒョン
・出版社: 光村教育図書
・発売年月: 2021年6月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 47ページ
・サイズ: 縦30.5cm × 横21.5cm
・絵と文の比率: ー(文字のない絵本)
・対象年齢: 4歳~
・カタカナの有無: ー
・漢字の有無: ー
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: ー
・縦書き、横書き: ー(左から右へ読む絵本)
【作者】
キム・ジヒョンは韓国とイギリスでデザインを勉強したイラストレーター、グラフィックデザイナー。この絵本が初めての絵本。
【内容紹介】
ある夏、家族と一緒に田舎へ行った男の子。犬を連れて、木が生い茂った森を抜けると、その先には、美しい湖が広がっていた。男の子は湖に飛び込むと、魚たちと一緒に泳ぐ。大自然を楽しむ男の子の文字のない絵本。
【レビュー】
〈作品の主題〉
一人の男の子を通じて、大自然の迫力と静けさが伝わる、字のない絵本。
字がない絵本のため、読める年齢は幅広い。
一方で、どちらかと言うと、思い出を刺激しながら、美化するのを手助けをするような、過ぎ去った昔を懐かしむことを目的とした絵本だ。子どもが読んでも楽しめる絵本だと思うが、古き良きあの頃へいざなわれたい、そんな大人の読者に好まれるだろう。
〈ストーリー〉
男の子の部屋からストーリーは始まる。部屋には小物が多く彼の性格や趣味が伝わってくる。例えば車のおもちゃや絵が多く飾られていることから、車が好きなこと、泊まる田舎の家の絵が壁に貼られていることから、そこに行くことを楽しみにしていること、水泳用のゴーグルが置かれていることから、泳ぐことが好きであることなどだ。
それらは後に展開されるストーリーに関連するもので、これらの小さな装飾が巧みに描かれている。また壁がけ時計が朝早い9時10分を示している事など想像のヒントが多く、字がない絵本だがむしろ読める部分は多い。
〈絵と文〉
少年に感情移入できる優れた絵が魅力。鬱蒼とした木々、湖に飛び込む時の水しぶきの音、泳ぎ終えて太陽の光を浴びた心地よさ、暗い夜空にきらめく星々、読んでいて肌で感じられるほどの美しさで表現されている。
目の前にあるかのように心に浮かぶ。実際に体験していなくとも、幼少時の思い出が、ありありと脳裏に蘇ってくるような魅力的なシーンが続く。白黒に近い絵だが、だからこそノスタルジックな感情になるのだろう。
〈キャラクター〉
窓から外を見た男の子が、自然に魅入られ森の奥へ行くことを決めるシーン、また森を歩き見つけた湖を眺めるシーンから男の子の好奇心旺盛で、何事にも挑戦する性格が伝わってくる。太陽を浴びたり、星空を眺めるシーン、犬を連れて歩き、湖の中では魚と触れ合う様子から、自然や動物が好きで、心から楽しんでいることが伝わる。
〈製本と出版〉
タイトルは『しずかな夏休み』。ルビが振られていないことから、字のない絵本とは言え、それなりに大人の読者に向けられた絵本なのだろう。
当サイトでは、問題なく読めるといった観点から、対象年齢を4歳~としたが、田舎に帰るというストーリー、思い出を刺激するような白黒に近い絵、家族の団らんを強調したような絵などからも、ノスタルジーに浸りたい読者に好まれるだろう。
【評点】
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