初の女性副大統領、カマラ・ハリスを描いた作品『カマラ・ハリス ちいさな女の子の願い』

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【データ】
・作品名: カマラ・ハリス ちいさな女の子の願い
・作者: 作/ニッキ・グリムズ、絵/ローラ・フリーマン、訳/水島ぱぎい
・出版社: 玄光社
・発売年月: 2021年2月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 39ページ
・サイズ: 縦23cm × 横23cm
・絵と文の比率: おおよそ 6:4 1ページ当たりの文字数は300字ほど
・対象年齢: 小学校3年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 総ルビ
・分かち書きの有無: なし
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
ニッキ・グリムズは児童文学作家。児童文学遺産賞など受賞多数。
ローラ・フリーマンはイラストレーター。コレッタ・スコット・キング賞などを受賞している。
水島ぱぎいは訳者。主な作品に、『パワーブック 世界を変えてやるチカラ』がある。

【内容紹介】
アメリカ初の女性副大統領、カマラ・ハリスの生い立ちを描いた絵本。
彼女がどのような家庭で育ち、大統領を目指すまでになったのか。サンスクリット語で「ハスの花」を意味する「カマラ」と名付けられた女の子は、公民権運動に参加し、「自由」を願う。ゆらぎない信念と行動を描いた物語。 

【レビュー】
〈作品の主題〉
アメリカ初の女性副大統領となったカマラ・ハリスの生い立ちを、自由と夢の実現を主題に描いている。誰もが大統領を目指すことができること、決められた人生なんてないこと、学ぶことの大切さ、失敗を恐れずに強く生きることの素晴らしさをこの作品は伝えている。
〈ストーリー〉
物語はイブという少女に、彼女の母親がカマラ・ハリスの生い立ちを話すといった流れなのだが、これが物語に没入できない要因になっている。

イブは小学1年生で、母親とイブの会話は、いかにも絵本的な幼子と大人の会話だが、カマラ・ハリスの伝記部分は、固有名詞が多く、明らかに小学1年生の読者を対象にした絵本ではない。当サイトでは小学校3年~としたが、それでも少し難しいかもしれない。それなのに、定期的にイブと母の会話が差し込まれるため、この作品を曖昧なものにしている。一体どんな読者を想定しながら描いた作品なのか疑問。

〈絵と文〉
文と絵が調和し進みが一致していて読みやすい。絵は分かりやすくカマラ・ハリスの成長がうまく描かれている。写真を元に描いたのだろうが、読みすすめるにつれ、強くたくましく政治家として大成していく姿に惹かれる。

文は上記したように対象年齢が曖昧なこともあり、やや説明的に感じる。小学校高学年向けに絞って書けば、この作品の持つ、決められた人生なんてなく、失敗を恐れずに強く生きることの大切さというメッセージが広く伝わったと思う。
〈キャラクター〉
カマラ・ハリスは、デモに積極的に参加して、自由と公平を求め、多様性を尊重するといったメッセージを発する。また、人々のために働く心の持ち主でもある。

それらはとても大切なもので、教育的価値のある絵本だと思うが、一部とても気になる箇所があった。それは彼女のそのような行動を"そういう血筋"と表現した部分である。確かに彼女の祖母は女性の権利のために戦った女性で、祖父はインドの独立のために戦った外交官ではあったが、これだけ誰もが自由に好きな道を選んで良く、大統領になることだって不可能ではないことを伝えている絵本なのに、それらを血筋と表現するのは、かなり引っかかる。
〈製本と出版〉
文字は小さい。背景の絵と重なり読みづらいと感じる箇所がある。

【評点】


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