オオカミたちの楽しげな様子と賛成する心地よさ『いっぱいさんせーい!』

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【データ】
・作品名: いっぱいさんせーい!
・作者: 作、絵/宮西達也
・出版社: フレーベル館
・発売年月: 2021年9月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 33ページ
・サイズ: 縦26cm x 横21cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は70字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
宮西達也は宮崎県生まれの絵本作家。『ふしぎなヒーローやさん』、『モグラのモーとグーとラーコ』など多数。

【内容紹介】
5匹の仲良しなオオカミは、「なにしようか」相談中。サイクリング、凧揚げ、野原でお昼寝、高いところに登って景色を眺める……。色んな意見が出たが、一匹のオオカミが「みんなのいったことをぜーんぶやらない?」と言うと、みんな「さんせーい!」。オオカミたちの楽しげな様子が生き生きと描かれている。

【レビュー】
〈作品の主題〉
5匹の仲良しなオオカミが、気持ちのいい日に、みんなで手を上げて元気よく「さんせーい!」。これを合言葉に、色々なことを楽しむ様子が描かれており、中途半端にならず、堂々と賛成する心地よさが描かれている。

〈ストーリー〉
岩山に登ったオオカミたちは、眼下に豚の群がいることに大喜びするが、ちょっとグロテスクに感じてしまった。捕食する側であるオオカミたちは、二足歩行で言葉を操り、凧揚げも行うが、それらは豚も同様で、この世界観なのに弱肉強食の、食う、食われるの関係性があるのかと少し驚いた。

〈絵と文〉
仲良し五匹のオオカミが、何をしようか相談する。サイクリング、凧揚げ、お昼寝、星を眺める、オオカミたちはこれら四つ提案する。提案するページでは、どれもオオカミたちがそれらのシーンを想像で楽しむ様子が描かれている。その後実行に移すが、想像と実行で似た絵が繰り返される。絵本としてほぼ同一なページが二度描かれても退屈でしかない。

文章はですます調で読みやすい。オオカミたちのセリフも陽気で生き生きとして楽しそうだ。

〈キャラクター〉
キャラクターの特色がない。オオカミたちの名前は、バル、ビル、ブル、ベル、ボルだが、色も似てるし、言葉遣いに差がないし、これといった個性がない。賛成ばかりである意味理想的な世の中かもしれないが、読んでいて緩急がない。

〈製本と出版〉
文字は大きく読みやすい。背景の絵と文字が重なるページがあるが、読みづらいと感じる箇所はない。

【評点】


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