Tweet
【データ】
|
【データ】
・作品名: おじいちゃんのねがいごと
・作者: 文/パトリシア・マクラクラン、絵/クリス・シーバン、訳/なかがわちひろ
・出版社: 光村教育図書
・発売年月: 2021年9月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 31ページ
・サイズ: 縦28.5cm x 横19.5cm
・絵と文の比率: おおよそ 6:4 1ページ当たりの文字数は100字ほど
・対象年齢: 小学校2年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: あり
・ルビの有無: 部分的にルビ
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
パトリシア・マクラクランはアメリカの児童文学作家。他に『テディが宝石を見つけるまで』など多数。
クリス・シーバンはアメリカの画家。主な作品に、『てのひらのあいさつ』などがある。
なかがわちひろは作家、翻訳家。『すてきなひとりぼっち』『くまちゃんがちいさくなっちゃった』などで知られる。
【内容紹介】
鳥が大好きなおじいちゃんと家族の物語。生まれ変わったら何になりたい? わたしがたずねると、おじいちゃんは「そのときがきたらわかるさ」と答えた。やがて、おじいちゃんとの別れが訪れる。
【レビュー】
〈作品の主題〉
鳥とおじいちゃんに関連するエピソードを用いながら、その思い出を振り返るように、おじいちゃんとの別れを描いている。心優しい読者を想定して描いたような温かい作品で、控えめな美しさがある。死を扱う絵本だが、その死を直接描かない配慮があり、読後感も心地いい。
〈ストーリー〉
語り手のわたしが、鳥に関連するおじいちゃんとの記憶を、切なげに振り返る物語。窓にぶつかり動かなくなってしまったコガラを、見守りながら救うエピソードは、愛情や思いやりがこもっていて魅力的だ。ただ、コガラが回復し、飛び立つシーンに、コガラを見守り続けた弟のミロが描かれていないのは、少し引っかかる。
〈絵と文〉
思い出を振り返る儚さもある絵は、物語ととても良く合っている。想像力をかきたてる絵で、黄色を基調にしているのも、哀愁を感じさせ、物語を支えている。
文章は読みやすく、芸術的な美しさもある。淡い魅力がある作品だが、鳥の名前を具体的な名称を用いて紹介しており、その使い方が上手いなと思った。
〈キャラクター〉
おじいちゃんは語り手のわたしに、生まれ変わったら何になりたいかを問われ、「そのときがきたらわかるさ」と答える。またわたしの弟ミロに対し、ハクトウワシのような世界を見渡せる目がほしいと語る。
これらはおじいちゃんの死後、ハクトウワシに生まれ変わったとみなすシーンに繋がる。キャラクター同士の自然な会話から、終盤へ展開していくので、心地よく読める。
少しづつ老いていくおじいちゃんを、温かく見守る家族と看護師の描写は、理想的だし安易な感動の押し売りにしていないのもいい。
〈製本と出版〉
文字の大きさはふつう。背景の絵と重なり読みづらいと感じる箇所が一部ある。
「臓」「看」など小学6年生で習う漢字が用いられている。また、漢字は部分的なルビで、小学2年生程度の字にはルビが振られていない。にもかかわらず、入門期の読者に向けて行われる、分かち書きがなされており、対象年齢が曖昧に感じられる。明確な基準を設けて製作したほうがいいと思った。当サイトでは小学校2年~とした。
【評点】
【関連する絵本、コラム】