絵本『つきよのアイスホッケー』 - 満月の夜、凍った池の上で、アイスホッケー! -

 
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【データ】
・作品名: つきよのアイスホッケー
・作者: 文/ポール・ハーブリッジ、絵/マット・ジェームス、訳/むらおか みえ
・出版社: 福音館書店
・発売年月: 2023年1月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 40ページ
・サイズ: 縦31cm × 横21cm
・絵と文の比率: おおよそ 7:3 1ページ当たりの文字数は200字ほど
・対象年齢: 小学校1年~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
ポール・ハーブリッジは、カナダの作家。
マット・ジェームスは、カナダの絵本作家。
むらおか みえは、日本の翻訳家。他に、『ひびけわたしのうたごえ』『ヒルダさんと3びきのこざる』などで知られる。

【内容紹介】
12月、森の中にある大きなビーバー池がついに凍った。月曜日、学校の休み時間に約束したぼくらは、午後4時に出発。険しい道を通り、池についたときには暗くなっていた。満月が顔を出すと、ぼくらは、まっさらのスケートリンクに滑り出す。
子どもたちは、満月の夜まで待って、凍った池の上で、アイスホッケーの試合をする。
【レビュー】
〈ストーリー〉
満月の夜を心待ちにして、楽しみに待つ様子は、遠足とか旅行をワクワクしながら待つ子どもたちのようで、読んでてこちらも期待が募ってくるような楽しさがある。
いざアイスホッケーが始まると、開放的な気分になるような、爽快な魅力がある。
池の奥には森があり、その真っ暗闇の中には、ヘラジカやクマが潜んでいる。
夜の美しさと、怖さが描かれているのも、この絵本の魅力だと思う。

〈絵と文〉
絵はラフ画のように描かれているが、スケートをするシーンなど躍動感があって魅力的。自然も迫力があるし、月の光と暗闇が対比されて描かれていて引き込まれる。

文章は、総ひらがなで文節ごとの分かち書き絵本にしては、表現は割りと難しい。文章量も多く、だ・である調で、「もくざい」や「そらいちめん」など、ひらがなでは読みづらい語も多くある。
この内容の絵本に総ひらがなは、あまり適しているとは思えないので、小学二年生ぐらいまでの漢字を使った方がよかったと思う。

詩的で美しいところも多いけれど、イラストで表現できる箇所も文で記されていたりするため、せっかくの絵本という表現媒体の魅力が損なわれている感じで、少し冗長に感じた。
〈キャラクター〉
あまりキャラクターが強調された絵本ではないけど、それにしても登場人物に魅力がない。登場人物は、語り手の「ぼく」と、大人のアーサー、他5人の子どもたち。ただ、性格とか気持ちがあまり描かれていないし、セリフも少ないため、単調に感じた。

〈製本と出版〉
縦長の絵本。文字の大きさは小さめ。背景の絵と重なり、読みづらい箇所がある。

【評点】


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