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【データ】
・作品名: かえるのほんや
・作者: 作、絵/やぎたみこ
・出版社: PHP研究所
・発売年月: 2022年5月
・出版形態: 紙の本と電子書籍
・ページ数(作品部分): 32ページ
・サイズ: 縦25.5cm × 横20cm
・絵と文の比率: おおよそ 8:2 1ページ当たりの文字数は100字ほど
・対象年齢: 6歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き
【作者】
やぎたみこは、兵庫県生まれの絵本作家。他に、『きんたろうようちえん』『ほげちゃんとおともだち』など多数。
【内容紹介】
森の中の池のほとりの柳の木。蓮の葉っぱで隠された根本の穴に入っていくと、かえるの本屋があり、本屋の奥では、本作りもしている。カエルの本屋のお話会は、おたまじゃくしやかえるでおおにぎわい。
店長は、『たまごからかえる』や、しっぽがある子どもに人気のある『こわいこわいへび』、本屋を最初に作った店長のお話『ほんやをつくったかえる』の3冊の本をもって椅子に座り、本の読み聞かせを始める。
【レビュー】
〈作品の主題〉
カエルの本屋の奥の部屋では、店長とかえるたちが本を作る会議中。ところが、作家のかえるがお話作りに行き詰まってしまう……。
本が好きなかえるたちの完成された世界観が魅力的な作品で、かえるたちによる架空の製本過程も丁寧に描かれた、読むと本が大好きになるような、読書の楽しさが描かれた絵本。
〈ストーリー〉
生き物たちの架空の世界の生活を、こっそり見るような楽しさがある作品で、この絵本では、かえるたちの本屋の様子を見学できる。
かえるの本屋では、店長による読み聞かせが行われていて、たまごからおたまじゃくしへ移行しかえるとなる過程を描いた本なんかを紹介している。
こういった、人には気づかれない生き物たちの暮らしを描いた絵本はよくあるが、かえるの本屋では製本と創作が行われていて、ほかの絵本とは異なるアプローチで、大変魅力的に描かれている。
本作りの材料は、草の根から作った紙、花や実から作った絵具、草の実から作ったのり、ヘビの抜け殻やはすの茎から作った表紙などで、絵本を読みながら絵本の製造を読むというちょっとメタな視点なのも面白い。
また、かえるたちは川でおぼれそうになった犬を助け、その出来事をもとに本を作る。体験を参考に形にするという作家的な視点が描かれていて、読んでて自分も創作したくなるような気持ちになる。
本を読み学ぶ楽しさ、製本の裏側を知るわくわく感、身近に起きた出来事を創作に活用することなど、“本に関する魅力”で、複数の物語の軸となる展開がうまく組み合わさっている。
〈絵と文〉
絵は、架空の世界を成り立たせるさまざまな工夫が細かく描かれている。本棚にはあまがえる用の小さな本が並んでいたり、本には架空のかえる文字が使われている。
文章は、ですます調で丁寧な言葉づかいで書かれていて、読み聞かせにも適していると思う。
〈キャラクター〉
カエルの本屋では、本を購入するシーンも描かれている。とあるかえるが、へびのぬけがらと取引して、『かめと ともだちになれる ほん』を買っているが、終わりのイラストでは、かえるが自宅でその本を読んでいる。読書は楽しく生活をより豊かにすると伝わるシーンで、作品を通して、本を読み、楽しみ、学ぶ喜びが伝わる。
〈製本と出版〉
本の大きさは少し小さめ。文字の大きさはふつう。一部文字が背景と重なり読みづらい箇所がある。
巻末にはひらがなと架空のかえる文字の対応表が載っている。対応表を読みながら二度三度楽しめる絵本。
【評点】
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