ひとりぼっちだったクマくんと女の子の友情『つきをなくしたクマくん』

 
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【データ】
・作品名: つきをなくしたクマくん
・作者: 著/谷口智則
・出版社: 文溪堂
・発売年月: 2022年5月
・出版形態: 紙の本
・ページ数(作品部分): 32ページ
・サイズ: 縦19cm × 横24cm
・絵と文の比率: おおよそ 9:1 1ページ当たりの文字数は50字ほど
・対象年齢: 5歳~
・カタカナの有無: あり
・漢字の有無: なし
・ルビの有無: ー
・分かち書きの有無: あり
・縦書き、横書き: 横書き

【作者】
谷口智則は大阪生まれの絵本作家。他に『だれかのプレゼント』『カメレオンのかきごおりや』など多数。

【内容紹介】
いつもひとりぼっちのクマくんは、冬眠から目を覚ますと、胸にあった月の模様が無くなっていてびっくり。クマくんが森で月の模様を探していると、女の子に出会う。女の子は、月の形のペンダントを失くしてしまったと言った。ふたりは一緒に月を探すことにし、湖に浮かぶ月を見つける。
【レビュー】
〈作品の主題〉
湖に出て月を拾いに行くが、クマくんは湖に落ちてしまう。空の月が湖に写っているだけだった。女の子に体を拭いてもらうと、汚れが取れて月の模様が胸に戻った。
ひとりぼっちだったクマくんと女の子の友情が描かれている絵本で、予想のつかない展開が魅力的な絵本。

〈ストーリー〉
心優しい読者を想定して描かれたような物語で、童話のような導入とイラストだが、つぎつぎと物語の展開は移り変わっていく。
起伏に富んだ展開は読者の好奇心を引き出すと思うし、固定観念にとらわれないような独創性がある。古典的な絵本に飽きた読者にも適していると思う。

〈絵と文〉
絵は、動物たちと女の子の笑顔が印象的で、背景も昔ばなしのような普遍的な良さがある。
文章は丁寧な言葉づかいで、読みやすくまた、読み聞かせにも適していると思う。
〈キャラクター〉
タイトルの「つきをなくしたクマくん」だが、“月”以外にも幸運を表す“付き”の意味もあるように読み取れる。“つき”を取り戻したふたりは、お互いに優しさを持ち寄り、パンケーキのお店を開くことになるが、序盤で描かれている孤独なクマくんを救っているようで、とても温かみのある作品になっている。

〈製本と出版〉
小さなサイズの横長の絵本。文字の大きさはふつう。背景の絵と重なり文字が読みづらい箇所が一部ある。

【評点】


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